4月6日(土)公開 12か月の未来図

教育とは、何を指す言葉なのかー。
これまでに私が訪れたフィリピンやカンボジア、スリランカの路上で、車の窓越しに物売りをしたり、手を差し出してくる子供たち。現地の友人たちは、決して子供たちから物を買わないように、1円1銭たりとも渡さないように、と言う。日本に日本人として生まれ、教育を受けることが当たり前のものとして育った私にはその意味を噛み砕いて噛み砕いてわかるようになるまで数年が必要でした。ーそう、それこそが、教育の根本的な部分にあるものなんです。

今回試写させていただいたフランス映画”12か月の未来図”は、まさにその「教育とは何か」について、かつ、心温まる大人と子供の心が触れあう人間味溢れるストーリーです。

移民を多く受け入れているフランスでの教育。
パリっ子。いわゆる都会かつ上層社会が多いパリの優秀な学校で指導をする教師フランソワは、自分が口にした言葉をきっかけに、移民の子供たちが多く学力レベルが低い郊外の学校へと赴任となります。

都会生まれ、都会育ち、かつお堅い眼鏡をかけたエリート教師フランソワは、赴任初日に周囲の環境におっかなびっくりの状態で新赴任先の学校へと向かいます。そこは、教師たちにもほぼ放置状態にされている移民の子供たちが通う学校でした。

フランソワは、これまでとは全く違った環境にも関わらずこれまで都会のエリート学校で教えてきたのと全く同じやり方で授業をスタートさせますが、全く耳を傾けない、なぜ学校に来なくてはいけないのか、勉強なんてくだらない、と意識に刷り込まれている子供たち。彼らを目の前にして、エリート教師フランソワは、いい成績をとるための勉強ではなく、本当の意味での教育について真摯に向き合っていきます。

子供たちと向き合うフランソワと、その場をやり過ごせばいい・・とばかりに最初から向き合おうとしない教師たちとのやりとり。子供たちとフランソワが少しずつ少しずつ心を通わせていく過程。そして、どうして学ぶことが必要なのか・・と言うことを、学校という学びの場を舞台にしながらも、勉強だけに焦点を当てず、本当の意味での”教育”についてを的確に見せてくれるとても印象に残る映画でした。

教育問題は、本当に難しい問題です。何か力になれることがあれば・・と手を差し伸べたくなるものの、ひと筋縄ではいかず胸が痛くなることや歯がゆい思いをすることも本当に多く、子供だけでなく、教師や地域、育った環境や過程環境などありとあらゆることが複雑に絡みあっています。

自分ひとりができることは、本当に小さいことかもしれないけれど、根本にある思いを自分ができる範囲で地道に真摯に向き合っていくことが大切なことなのかもしれない。ーそんなことを思わせてくれる、とても素敵なストーリーでした。

オススメです。

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『12か月の未来図』

http://12months-miraizu.com/
©ATELIER DE PRODUCTION – SOMBRERO FILMS – FRANVE 3 CINEMA – 2017
4月6日(土)、岩波ホールほか全国順次ロードショー


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